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M&Aの成功報酬とは?メリットデメリットと仲介会社の選び方を解説

M&Aのお役立ち情報

こんにちは、かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社の佐武です。

今回は、M&Aの完全成功報酬体系について詳しく解説するとともに、賢いM&A仲介会社の選び方のポイントを解説しています。

■本記事の執筆者
かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社
代表取締役 佐武 伸
※プロフィールはこちら

本記事では、M&A・事業承継をご検討中や情報収集をされている経営者の方向けに、下記の内容を詳しく解説していきます。

・M&Aにおける成功報酬の意味・概念
・M&Aにおける成功報酬のメリット・デメリット
・M&A仲介を証券・銀行・M&A仲介・会計事務所などに依頼する場合に必要な手数料
・M&A仲介会社の選び方

 

はじめに

M&A・事業承継を検討されている中小企業のオーナー経営者にとって、M&A会社に支払う成功報酬や手数料は、仲介会社選びにおいて重要度の高い選定基準だと思います。

まず、知っておいていただきたいのは、M&Aの場合は不動産のように法律(宅地建物取引業法により仲介手数料の上限額が定められている)により定められた報酬や手数料の計算方法などがないということです。したがって、原則、報酬や手数料は各M&A会社が自由に決めています。

ただ、中小企業のM&Aの場合、成功報酬のみの完全成功報酬体系が一番シンプルで安心です。

したがって、本記事では、M&A仲介の完全成功報酬体系について詳しく解説するとともに、賢いM&A仲介会社の選び方のポイントも説明します。

 

M&Aの完全成功報酬とは?

M&Aの完全成功報酬制とは、月額報酬・着手金・中間金などの費用が発生せず、M&Aが成約した場合のみ成功報酬が発生する料金体系のことです。

したがって、「完全成功報酬」という呼び方をしています。

比較的規模の小さな案件で、事業承継を中心に扱うM&A仲介会社やアドバイザリーに特化したM&A専門会社などで採用されています。

どういった料金体系を採用しているM&A仲介会社に依頼するかによって、月額報酬・着手金・中間金などの有無が異なります。

このように、各社でさまざまな料金体系が設定されていますが、中小企業の経営者様を対象とした場合、まだ成約していないにも関わらず、途中の段階で費用を負担するのは厳しいという意見も多数あります。

したがって、成功報酬以外の手数料はすべて無料の完全成功報酬が、分かりやすさとコスト面の安心感で今後は中小企業M&Aの分野で主流となる報酬体系になってくるのではないでしょうか。

 

完全成功報酬制のM&Aのメリット・デメリットと注意点

M&A会社を選ぶ際には、まず各社の料金体系のメリットとデメリットをよく把握したうえで比較・分析します。

まずは、完全成功報酬体系のメリットとデメリットを説明します。

<M&Aの完全成功報酬体系のメリット>

M&Aの完全成功報酬体系のメリットとしては、成功するまでは手数料が一切かからないというコスト面での安心感がまず挙げられます。

月額報酬、着手金や中間金を払う必要がある場合、M&A会社との仲介契約、アドバイザリー契約などの締結時点、買い手との基本合意(仮契約)締結のタイミングで費用が発生し、最終的に契約と決済に至らなくても払った手数料は返金されません。

時間とコストをかけたにもかかわらず、成約に至らなかったケースでは、経営者の心理的ダメージにもつながり、その後の経営にも支障をきたしかねませんのでこのリスクをどう回避すべきかを考える必要があります。

完全成功報酬体系のM&A会社の場合、相手を見つけることができない、したがって成功しそうにない案件は無料相談時にお断りするのが一般的です。M&A会社にとってもビジネスにならないから当然と言えます。それに対して月額報酬、着手金や中間金があるM&A会社の場合は、これらの手数料を取るために、成約確度の低い案件でも一旦受任します。

したがって、経営者が自分の会社の売却の可能性を把握するためにも、完全報酬体系のM&A会社のまず相談されることをおすすめしています。

<M&Aの完全成功報酬のデメリット>

完全成功報酬は、依頼する経営者にとってはこのようにコスト面で大きなメリットがありますが、受任するM&A会社は、相当な時間とコストをかけたにもかかわらず、決まらなければ、ビジネスにはならないデメリットがあり、受任した案件は必ず決めたいと心情的に考えます。

したがって多少条件的に不利でも強引に合意させようとするかもしれません。

また、紹介する買い手候補も完全成功報酬体系で受任する場合、決まるまで一切報酬が発生しないため、興味本位で案件を検討するケースもあるかと考えます。したがって、売り手の経営者としては相手の本気度合いを注意深く分析する必要があります。

いずれにしても、M&A会社を選定する場合には、報酬・実績だけでなく、誠実性・信頼度・相性なども含め、総合的に判断するのがポイントです。

 

M&Aにかかる手数料(報酬体系)

M&A仲介会社の手数料体系としては、主に以下の3種類があります。

  1. 中途段階で着手金または中間金を支払い、成約時に成功報酬を払う方法
  2. 着手金、中間金などは設けず、成約時のみ報酬が発生する完全成功報酬による方法
  3. 月額報酬、タイムチャージ方式

は、着手金がM&A仲介契約やM&Aアドバイザリー契約(業務委託契約)締結時に発生したり、中間金が基本合意(仮契約)締結時に発生したりするなど、案件成約前になんらかの手数料が発生します。

対象会社の規模などによりますが、着手金は、数百万円程度、中間金は成功報酬の半分程度が多いとおもいます。

支払った着手金、中間金は成約時に成功報酬から控除される場合が多いですが、成約に至らなかったとしても返金されません。

この方式は、証券会社、銀行、上場しているM&A仲介会社などで主に採用されています。

は、成約するまで着手金、中間金などの費用が一切発生せず、成約時のみ成功報酬が発生します。したがって、「完全成功報酬」という呼び方をしています。

比較的規模の小さな案件も扱う事業承継型のM&A仲介会社やM&Aアドバイザリーに特化したM&A専門会社などで採用されています。

月額報酬(月額顧問料やリテーナーフィーと呼ばれることもあります)は、月ごとに 定期的に定額で発生する手数料です。

タイムチャージは、M&A手続きに要した時間を集計し、一定の時間単価を掛け合わせて計算します。

これらは、相手がすでに決まっていてM&Aの作業(手続き)だけ専門家に依頼するケースやセカンドオピニオンをもらうケースで主に採用されています。

なお、これ以外に考慮すべき点としては最低報酬が挙げられます。金額の水準としては、500万円~数千万円と幅が相当あります。銀行、証券会社、上場しているM&A仲介会社では最低報酬を2,000~3,000万円に設定している場合が多いと思います。株式の譲渡代金が数千万円しかならないのに、最低報酬が数千万円で報酬を払ったら手取りがほとんどなくなった、という笑えない話もありますので、必ず確認が必要です。

成功報酬の計算方法

成功報酬は、クロージング時(決済時)、つまり案件が完了する時点で発生する手数料です。

手数料は、後述するベース(基準)となる金額に、一定の料率(1~5%など)を掛け合わせて計算します。

<ベース(基準)となる金額>

ベースとなる金額としては、主に以下を採用しています。

①譲渡(譲受)金額:交渉で最終合意した譲渡金額をベースとして料率を掛け合わせます。

②総資産額 :①の譲渡金額に負債額を加えた「総資産額」を基準とするものです。 これは、負債(特に借入金)の金額が高い対象会社の場合には、手数料が高くなります。

会社の規模に比べて譲渡金額が極端に少ない場合(例えば1円など再生型のM&Aのケース)には合理的な計算方法といえるかもしれませんが、通常の中小企業の事業承継型のM&Aの場合には、報酬が相当高くなりますので要注意です。(下記図参照)

M&Aの成功報酬の計算方法を解説した図

<料率(レーマン方式)>

ベースとなる金額を基に、手数料を計算する手法として、レーマン方式が多く採用されています。 レーマン方式は、「ベースとなる金額」を複数の階層に分けて、各階層で決めた料率を「ベースとなる金額」に乗じた金額します。例えば、下記のような表を用いて手数料を計算しますが、例示された各階層の分け方や料率も各仲介者・M&A会社により異なりますので、必ず確認するようにしましょう。

(手数料率)

M&A仲介におけるレーマン方式の手数料率の例をグラフにした図

(具体的な計算例)※最低報酬500万円のM&A仲介会社の場合

M&A仲介におけるレーマン方式の手数料率の計算例の図

経営者がM&A仲介会社の手数料(報酬体系)を検討する場合のポイントと注意点

M&Aの報酬は各M&A仲介会社、M&Aアドバイザリー会社によってさまざまな方式が採用されています。各社の報酬を検討するにあたってチェックする項目は以下のとおりです。

  1. 途中段階で報酬が発生するか否か
  2. 最低報酬の金額
  3. ベース(基準)となる金額
  4. 料率と各階層の分け方(レンジ)

①ですが、M&Aの報酬としては、月額報酬、着手金、中間金など様々な手数料が成約までの途中段階で発生するM&A仲介会社と、途中では一切費用負担のない完全成功報酬の会社があります。

途中で支払った手数料は返金されませんし、まだ成約していないにも関わらず途中の段階で費用を負担するのは厳しいというケースでは、完全成功報酬体系の会社をおすすめしています。

②の最低報酬は、500万円~数千万円と幅が相当あります。

銀行、証券会社、上場しているM&A仲介会社では最低報酬を2,000~3,000万円に設定している場合が多いと思います。

比較的小規模な会社で株式の譲渡代金が数千万円しかならないのに、最低報酬が数千万円で報酬を払ったら手取りがほとんどなくなった、という笑えない話もありますので、必ず確認が必要です。

③は総資産ベースか株式譲渡代金ベースかを確認してください。

総資産ベースの場合、その計算方法を確認します。

この総資産が大きい場合、報酬が相当高くなるのが通常ですので、必ず確認するようにして、どの数字をベースにするのか交渉するようにしましょう。

④料率は先述したレーマン方式を採用しているM&A仲介会社がほとんどですが、各階層の分け方(レンジ)は各社まちまちですので、自分の会社の譲渡金額がどのレンジに該当するのか、ヒアリングして実際に計算して確認する必要があります。

このようにM&A会社を選定するにあたっては、これらのチェック項目を確認しながら複数社に打診し、自社の規模に応じた報酬となっているか、慎重に見極める必要があるでしょう。

 

M&A仲介会社を選ぶ場合のポイントと注意点

百戦錬磨の経営者であっても、会社の売却を経験したことのある経営者は極少数です。M&Aは会社の売買となるため、大きな金額が動くことになります。

また、会社は売ったら終わりではなく、売却後の事業運営の方法や従業員の待遇など、これまで経験したことのない課題の解決を要します。

M&A仲介会社は経営者をサポートする心強いパートナーとなり、円滑にM&Aの交渉を進めてくれます。

ではM&A仲介会社の選び方のポイントと注意点をご紹介します。

M&A仲介会社を利用する理由

新聞などで取り上げられる大規模M&Aのニュースなどで、アドバイザーとして関与したM&A会社の名前が載っているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか?

実は、M&A交渉において、M&A仲介会社を必ず利用しなくてはならないというルールはありません。

しかし、大規模案件から小規模案件まで、ほとんどの案件でM&A仲介会社が関与しています。

M&A仲介会社を利用する主な理由として、以下3点が挙げられます。

  • 広範囲の選択肢からいいお相手を見つけてもらうため
  • こちらに有利な条件で話しをまとめてもらうため
  • 専門家にまとめてもらうことでM&Aに伴うリスクを軽減するため

会社の買収・売却を検討している、M&A仲介会社の選定に苦労している、という経営者の方は、以下を念頭に置いて検討していただくと良いでしょう。

M&A仲介会社を選ぶ3つのポイント

M&A仲介会社を選ぶポイントは報酬だけではなく、以下の視点から総合的に判断することが大事です。

①取扱案件の規模と業種

まず、M&A仲介会社の取扱案件の規模と業種を確認しましょう。貴社の企業規模とM&A仲介会社が得意とする案件規模がマッチしていないと、真剣に動いてくれない可能性や成約に結び付かない可能性があります。

②報酬金額の適正さ

次に確認していただきたいポイントは自社の規模(株式譲渡代金)に応じた報酬金額になっているか、支払タイミングに問題ないか、を確認します。

成約するかどうかまだ分からないタイミングで手数料を払わなければならなかったり、自社の規模(譲渡代金)に不釣り合いな報酬金額(最低報酬が相当高い、総資産ベースで計算など)、になっていないか、注意することが必要です。

③M&A仲介の実績とネットワーク

ここ数年でM&A仲介事業を行う企業が急増しており、ゆえに選定に苦労されることも多いかと思います。もちろん、それだけで選べば良いということではありませんが、最も分かりやすい選定基準となるのが実績でしょう。

M&Aは、経営、法務、会計税務、人事、様々な業界事情などに相当精通していなければ、いい相手と巡り合い、双方がメリットとなるM&Aを成就させることはできません。

したがって、買い手候補のデータベースを多数保有しているのか、M&Aに詳しい公認会計士、税理士、弁護士などの士業とのネットワークの広さも選定するにあたってのポイントとなります。

簡単に判断できる要素としては、設立からの年数です。最低10年以上の実績は必要になると考えますので、必ず創業何年の会社かヒアリングするようにしてください。

 

このように、非常に繊細な交渉が必要となってくるM&Aにおいては、条件面で折り合いがつかないなどの様々な理由で、案件自体が破談となるケースもあります。

経営者の方の一番の目的は、ご自身や従業員などがハッピーな形で交渉がまとまることですから、これまでしっかりと実績を積み上げている仲介会社に相談されるのが安心ではないでしょうか。

 

M&Aという大きな決断は信頼できる伴走者と共に

M&A仲介会社を選ぶうえでのポイントを解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

M&Aは一生に一度でも経験することがあるかないかの、経営者にとっては最重要な経営判断、決断です。

今回ご紹介したポイントに加えて、交渉の進め方やスピード感、担当者との相性などが、貴社の要望と合うかもしっかりと見極めていただきたいので、複数のM&A仲介会社にまずは話を聞いてみましょう。

 

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M&Aアドバイザリー会社では珍しく弊社には営業ノルマがないため、弊社の都合でM&A実行を急がせることはなく、ベストなタイミング・譲渡候補先をご提案いたします。

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