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もしも経営者が認知症や重大な病気になったら?_道次 あおい

M&Aのお役立ち情報

こんにちは。かえでファイナンシャルアドバイザリーの道次です。
経営者の高齢化に伴い、最近は当社がお手伝いするM&A案件でも経営者が認知症や重大な病気にかかるケースが増えています。元気な経営者ほど「まだ先の話」「〇〇になったら考えよう」と、事業承継の問題を先延ばしにしがちです。その結果、大事な局面で病気が原因で思い通りの事業承継ができなくなるという事態だけは避けたいものです。
事業承継は時間と体力・決断力が必要な、人生の中でそう何度も経験することが無い、一大イベントと言っても過言ではないでしょう。経営者として、考えられるリスクへの備えは元気な時こそ対処しておきましょう。
このコラムが事業承継を検討する経営者と一緒に考えるきっかけになれば幸いです。

1.超高齢社会下で経営者も高齢化

日本では、1970年に高齢化社会(65歳以上の高齢者の割合が「人口の7%」を超えた社会)に突入し、2010年には超高齢社会(65歳以上の高齢者の割合が「人口の21%」を超えた社会)を迎えました。

中小企業の経営者年齢の分布について見ると、2000年に経営者年齢のピーク(最も多い層)が「50歳~54歳」であったのに対して、2015年には経営者年齢のピークは「65歳~69歳」となっており、経営者年齢の高齢化が進んできたことが分かります。更に足下の2020年を見ると、経営者年齢の多い層が「60歳~64歳」「65歳~69歳」「70歳~74歳」に分散しています(図表4)。

(出典:中小企業庁 事業承継ガイドライン第3版)

 

2.体の不調はいつ頃から始まる?

年齢を重ねるにつれて徐々に病気にかかるリスクは高まります。

重大な病気の前段階として気を付けたいメタボリックシンドロームは、程度が軽くても高血圧・脂質異常症・肥満などが重なって起こると、糖尿病の発症ならびに心臓や血管の重大な病気等につながりやすいと言われています。では、治療が必要な病気は何歳頃から顕在化するのでしょうか。

私の周囲でも30代~40代位になると体型が気になり始め、いわゆる「お腹ポッコリ」状態になる人が増えていきます。更に、40代・50代頃には高血圧のために薬を飲み始める人が増えてきますが、一般的には50歳を超える頃から治療薬を服用し始める人が多いのではないでしょうか。

下記図表をご覧いただくと、60代後半頃から治療薬を服用している人が内服無しの人を上回るようになっています。複数の病院や診療科から薬を処方され、合わせたら1日に何錠も服用するということが段々当たり前のようになります。

(出典:厚生労働省「年代別・世代別の課題(その2)」)

もちろん、意識を高く保ち運動や規則正しい生活を心がけて、体型をキープしている方もいらっしゃいますが、忙しい経営者ほど不規則な生活になりがちなので注意が必要です。

 

3.経営者の高齢化に伴うリスク

経営者の高齢化と切っても切り離せないのが、「認知症」と「重大な病気」の問題です。最近、当社がお手伝いするM&Aでも、問題になる頻度が上がっています。

  • 認知症で経営上の判断ができなくなった
  • がんで入院したため事業承継を延期せざるを得ない or 急いで成約させたい
  • 経営者が急逝した  等

どれも円滑な事業承継を進めるうえで大きな問題になり、うまく進行していた話が中断する、時間が掛かってしまい最適な条件やタイミングを逃す、急いで成約するために不利な条件をのまざるを得ない、あるいは、事業承継そのものがブレイクする、等の要因になります。

また、認知症の場合、体は元気でも次のようなことが考えられます。

  • 株式の売買や贈与などの契約行為ができない
  • 株主総会の議決権を行使できない

認知症になれば、役員の変更や決算承認・定款変更などの経営に関する決議もできなくなり、経営を続けることはもちろん、事業承継や相続対策なども手遅れになります。

このようなことが起きてしまった場合、身近な身の回りではどのようなことが起きるでしょうか。

【取引先や金融機関】

少しでも不安材料があると、取引先は取引の継続や取引内容を、金融機関は融資基準の見直しや追加融資を尻込みすることがあるかも知れません。

【従業員】

従業員たちのモチベーションが下がり全体の統率力が維持できない可能性もありますし、雇用の継続や将来への不安等から転職や退職が続き、会社にとって大切な人材が流出するかも知れません。

【家族や役員】

後継者争い・ポスト争い・派閥争い・押し付け合い等が起こり、身近なご家族が困るような事態や、頼りにしていた役員同志が争う事態になるかも知れません。

このように、社長が元気でさえいてくれれば通常では起きることがない事態に発展する可能性が十分考えられます。何か起きてから対処するのでは遅すぎるということは一目瞭然です。

 

4.かえでファイナンシャルアドバイザリーがお手伝いした事例

CASE1:社長の突然死とその後の相続により、所有(親族)と経営(後継社長)の分離で不和が生じた結果、会社をM&Aで売却せざるをえない話にまで発展

専業主婦の姉妹からのご相談でした。社長だったお父様が突然亡くなり、親族の遺産分割協議により会社の株式を姉妹で相続。二人とも専業主婦で生前から経営にはノータッチだったため、番頭格で親族以外の役員が社長業務を引き継ぎました。配当はなく、株式を保有するメリットをまったく感じられない姉妹は、社長業務を引き継いだ役員に株式の買取を要求しましたが価格交渉で難航。憤った姉妹はこの社長に無断でM&Aで売却を検討するまでに発展しました。

➡突然経営者が亡くなり株式は親族で相続し、経営は親族以外で運営するようになった場合、いわゆる「所有(親族)と経営(親族以外)の分離」が生じる場合がありあます。非上場会社のケースではそれにより経営が不安定になる可能性が高く、場合によっては経営が急速に悪化するため、事前の対策が重要です。なお、本件の場合、株価が高くなく、後継社長が資金調達できたため買取交渉は成功し、事なきを得ました。

CASE2:共有状態になっている不動産の売買で、所有者の一部が認知症を発症

事業承継の準備の際、共有持ち分となっていた不動産を売却することで合意したものの、売却手続きの途中で共有持ち分を保有する高齢の所有者に認知症の兆候が出始め、銀行の抵当権抹消手続きや移転登記にあたって、銀行や司法書士から売買契約の締結が難しいと指摘されました。

➡経営者本人ではなくても、株式や共有持ち分となっている不動産の所有者が認知症になった場合、契約締結ができなくなり経営や事業承継に影響が出る事例が最近急増しています。信託の活用など事前の対策が急務となってきています。

 

5.経営者ができる備え

このような最悪な事態を招かないために、経営者は今から何をすれば良いのでしょうか。

【健康を維持する】

まずは健康を手放さないことです。忙しい経営者ほど、自分の体調に敏感であって欲しいと願います。大体の病気は突然重症化するのではなく、時間をかけて進行していきます。体や心に過度な負担がかかり過ぎる状態を、何か月も何年も何十年も継続しないように心がけてください。

【早めに対策をとる】

中小企業庁の「事業承継ガイドライン第3版」(令和4年3月改訂)によると、後継者を決めてから事業承継が完了するまでの移行期間は、3年以上を要する割合が半数を上回っていて、10年以上かかる割合も少なくありません(図表16)。

19(出典)帝国データバンク「事業承継に関する企業の意識調査」(2021年8月)

※母数は有効回答企業11,170社

下記図表5のように、平均引退年齢が70歳前後であることを踏まえると、概ね60歳頃には事業承継に向けた準備に着手することが望ましいと言えます。そして、早めに後継者を育てること、早めに承継後の体制を整えることができれば安心です。

 

(令和4年3月改訂 中小企業庁「事業承継ガイドライン第3版」より)

 

6.かえでファイナンシャルアドバイザリーにできる支援

当社がお手伝いする事業承継案件でも経営者が認知症や重大な病気にかかってしまうケースが増えています。当社は、経営者が相続対策をするだけでは不十分だと考えており、認知症や重大な病気への備えや対策が必要です。ケース毎に異なる問題を当社のノウハウと専門家ネットワークにより解消し、事業承継を成功させています。

このコラムをお読みいただき、事業承継を検討する経営者が今何をすれば良いのか、考えるきっかけになれば幸いです。

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