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外食産業のM&A(事業承継)を検討する場合

業種別M&A

こんちには。かえでFAです。本日は、飲食業界のM&Aについてお話したいと思います。飲食業界は、M&Aが盛んな業種の一つだと思います。この数年はどのようなトレンドであるのかを解説させていただき、M&A(事業承継)を検討する方にとって有益なお話になるようにしたいと思います。では、始めていきます。

1.市場規模

まずは市場規模を確認しましょう。一般社団法人日本フードサービス協会によりますと、外食産業の市場規模は、令和元年において33兆3,184億円と巨大市場となっています。直近5年の推移をみますと、全体としては緩やかにですが、成長している市場となっています。牽引しているのは、インバウンド需要によるものが大きいようです。訪日外国人は、2013年は約1,036万人、2015年には約1,973万人、そして2019年には約3,200万人と増加が続いており、コロナ禍で現状は減少していますが、中長期では引き続き需要が見込めると考えられるでしょう。

外国人の方が来日するにあたって期待していることの約7割が、日本食とのデータもあるぐらいであり、和食を提供する事業者にとっては大きなチャンスかも知れません。

出典:外食業界の動向とカラクリがよ~く分かる本(秀和システム社)より弊社作成

2.業界のトレンド

続いて、業界のトレンドについて見ていきましょう。下記にお示しするのが主なトピックスです。

■女性の外食利用の増加
女性の社会進出の拡大に伴い、女性が一人で外食を利用する機会が増加しているようです。また、それに伴い中食にも注目が集まっています。コロナ禍において特に、デリバリーや中食には大きな注目が集まっていて、外食としてのサービスだけでなく、幅広く顧客のニーズに応えられるような施策が必要になるでしょう。

■中食市場の成長
核家族化や高齢化、先述した女性の社会進出により、中食市場も大きなポテンシャルを秘める市場として注目されているようです。女性に限らず、仕事と家庭の両立へのニーズは今後も一定の需要が見込まれ、スーパーやコンビニが総菜部門を強化していたりします。
総務省の調査資料『ネットショッピングによる消費』では、ネット出前の利用がどんどん増えていることが分かっており、外食業界もデリバリーやUber Eats等へ業者対応も積極的です。

■外食企業の農業参入
居酒屋チェーンのワタミ社やモスバーガー社等、農業法人を設立し、川上から自社で生産に挑戦する企業も増えています。背景には、差別化戦略が伺え、それぞれの企業努力が垣間見えます。

3.飲食業界のM&A事例

では、飲食業界のM&A事例には、どのようなものがあるのでしょうか?

■神戸物産社による壁の穴社のM&A事例

業務スーパーでお馴染みの神戸物産社は、子会社のジーテイスト社でパスタ専門店の壁の穴社にM&Aを実行しています。グループの食材調達ノウハウだったり、スケールメリットを生かすことでコスト削減が見込めること、また、同社は焼肉屋さかい、居酒屋の村さ来など多くの飲食店を保有していますが、そこにはない新たな業態ということもあり、買収をされたようです。更に、壁の穴社のブランド力、壁の穴社は首都圏を中心に展開するパスタ専門店ですが、和風パスタの先駆けとして知られ、明太子パスタの発祥とも言われている老舗です。そういった点も評価されているのでしょう。

自社にはないブランドを傘下に収めるためのM&A事例は、飲食業界ではお馴染みですが、今後も一定数発生すると思います。

※2020年6月にIRにて神戸物産社グループではなくなっていますが、当時の情報を記載しています。

■投資ファンドアドバンテッジグループによるペッパーフードサービス社のM&A事例

飲食業界は、投資ファンドからのM&Aが盛んな業界の一つです。

ペッパーフードサービス社は、いきなりステーキ!を展開する事業者ですが、近年は極端な拡大攻勢が裏目に出ていました。2020年7月には、ペッパーランチ事業を分割し、投資ファンドであるJ-Star社に売却し、財務体質を改善させようとしていました。とはいえ、更なる財務基盤の強化、また経営支援を目的にアドバンテッジアドバイザー社に第三者割当、新株予約権を付与したようです。アドバンテッジアドバイザー社は、グループに国内の老舗投資ファンドであるアドバンテッジパートナーズを有しています。同社は、飲食系も複数の実績があり、コロナ禍でもその力を十分に発揮するのでしょう。

コロナ禍では、上場会社でも苦戦を強いられています。とはいえ、ブランド力や保有している経営資本は魅力ですから、投資ファンドの力と協力して危機を乗り越える話が今後も賑わせるかもしれません。

■トリドール社のM&A事例

トリドール社は丸亀製麺で有名な事業者です。同社はM&Aに積極的な事業者だと思いますので、どのような方針なのか見ていきます。まず一つ目が、ゴーストレストラン研究所社への出資です。ここは中食市場で事業展開するフードデリバリー事業者で、この市場のポテンシャルにトリドール社が着眼し、出資を決めたようです。

また、自社が投資を行うだけではなく、逆に成長のために出資を受け入れていることもございます。2019年の9月に米国の投資ファンドHargett Hunter Premier Brands Fundより出資を受けています。これは、日本食の世界的な人気の高まりを背景に、米国での出店拡大を目指すためのものであるようです。上場会社であっても、成長のために第三者からの出資を受け入れるのですから、これからの中堅・中小企業にも成長戦略の一つの解決策になる得るでしょう。

■味の時計台のM&A事例

味噌ラーメンチェーン、味の時計台を展開する時計台観光社は、家系ラーメン魂心家を展開するトイダック社の鴨田氏へ株式を承継しています。これは事業承継系のM&Aに該当するものでもあり、また支援を前提としているものなのかも知れませんが、後継者不在の企業が事業承継で引き継がれていくことは、喜ばしいことです。

4. M&A/事業承継におけるポイント

事例を見てきたところで、M&Aを検討するにあたり、ポイントになる点を記載します。勿論これが全てではございませんが、参考にしてみてください。

■ビンテージで地域で有名なブランドか

地域でどれくらいの知名度なのかは大事なポイントになるでしょう。飲食店の場合は、FC展開等をしていないのであれば、一定のエリアに展開することが特徴だと思いますので、展開する地域で有名なのであれば、初期的な関心を持つ買手候補者が出てくるでしょう。先に記載した味の時計台は全国で展開していますが、北海道エリアが中心ですし、そのブランドを聞いてどのエリアというのがイメージできるものでしたら、非常に良いと思います。

■店舗別損益はどうなっているのか

当たり前ですが、店舗別できちんと損益が管理できているのかは、大事なポイントです。忙しいから何となくではなく、必ず整理したうえで売却を検討するようにしましょう。

■FL比率はどうなっているのか

飲食店経営で絶対に外してはいけないとも言われる比率が、FL率です。目安といわれる60%内で運営ができていますか?できていないのであれば、原因を精査してみましょう。すぐ売却するのではなく、場合によっては改善の準備期間が必要かもしれません。

■従業員の未払残業代

飲食店に限る話ではありませんが、未払残業代はポイントになるでしょう。店舗数が多ければ、どうしても従業員の方の人数も増えますから、どのような管理方法で労働時間を管理しているのか、正しく管理できているのか、売却を検討するにあたっては確認すべきです。

5.終わりに

如何でしたでしょうか?飲食業界は、商品の流行り廃りが速い分、創業者がどのような想いで事業を立ち上げたのかが、店舗づくりであったり商品であったり、事業に顕著に出やすい業種だと思います。だからこそ、売却を検討するのでしたら、お相手は慎重に選ぶべきですし、高値だからといって安易に売却して、自分の想いが消えていってしまうことは避けなければいけません。
ここで記載したことが全てではありませんが、M&Aを検討するすべての方にとって、この情報がお役に立てれば嬉しく存じます。

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