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失敗しないM&A仲介会社/仲介業者の選び方_岡村 新太

こんにちは。かえでFAの岡村です。今日は、私なりにM&Aを検討する売り手オーナー様が、M&A仲介会社(仲介業者とも言う)を選ぶ際に気を付けて欲しいことについてお話したいと思います。
(最終更新日:2020年7月21日)

 

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社

岡村 新太 Arata Okamura

1.はじめに

COVID-19が流行する前までは、空前の売り手市場であったことは事実です。業種によってはEBITDAの10倍はザラというような環境下でしたが、これから少し調整局面に入ると考えており、改めて、売却を検討するオーナー様にM&A仲介会社を選ぶ際のポイントについて考えを述べたいと思います。

2.M&A仲介サービスを提供する事業者

私は、M&Aサービスを提供する事業者は、大きく4つほどに分類できると考えています。

1つ目は、銀行や証券会社といった金融系です。メガバンクは、積極的に取り組んでいるところが多いと思います。地方銀行や信金も、ようやく力を入れだしましたが、総じて仲介業務を行うというより、当社のようなM&A仲介会社に案件紹介を行うという形に留まっていることが多いと思います。

金融機関の良いところは、財務内容や会社で働く人の顔を分かっているため、自社の希望に近い買手候補者を紹介してくれる可能性が高い一方、やはりお金を借りている経営者の方も多いと思いますので、彼らからの提案が「指示や命令」のように聞こえて嫌がる方も多いと思います。ただ、地方銀行や信金は、地元ならではの情報網でオーナー様の納得がいく提案が出来る可能性もあると思いますし、無碍にするのも勿体ないかもしれません。

2つ目は、会計事務所が設立しているM&A仲介会社です。自社のクライアントから相談を受けるため、近年、グループ内にM&A仲介会社を保有する会計事務所が増えています。特徴としては、自社の財務内容を理解しており、使いやすいということです。

ただ、M&Aの肝は、M&A仲介会社の交渉力とその経験値にありますので、これらの仲介会社を選ぶとするなら、実績はよくよくご確認いただいた方が良いかもし知れません。

3つ目は、日本M&Aセンター社やストライク社、M&Aキャピタルパートナーズ社といった大手M&A仲介会社や、当社のような独立系M&A仲介、M&Aアドバイザリー会社です。この分類の会社を選ぶメリットは、やはり高いマッチング力です。M&Aの成約実績も数多くあるので、様々な業界に精通する担当者も在籍しており、納得のいく結果を得やすいと思います。但し、料金体系は会社により大きく異なりますので、そこは注意して確認して、選ぶようにしてください。

最後に、コンサルティング会社がM&Aのアドバイザリー業務を行うことがあります。これらの会社の特徴は、経営改善を受けながらM&Aの実行まで支援されるということに尽きると思います。事業再生が必要な局面にある会社様が、利用されているケースが多いです。尚、PL面のお手伝いを受けるということは、M&A報酬とは別に報酬が発生することがほとんどですので、料金体系は注意してください。

以上のように、日本国内において、M&Aの仲介業務を担う業者は、4つの分類ができ、今後はより、会社の規模や業績により、M&A仲介会社の棲み分けが進んでいくと思います。

3.M&A仲介会社を選ぶポイント

さて、プレーヤーを整理したところで、M&A仲介会社を選ぶポイントを申し上げたいと思います。

 ①手数料体系がどうなっているかで選ぶ

まず必ず一番に、手数料体系を確認してください。M&A仲介会社に支払う手数料の設定方法が、月額制かどうか、着手金がないか、完全成功型報酬なのかという料金体系を理解したうえで選ばないと、仲介手数料に大きな差が出てくることがあるからです。また、仲介手数料の徴収方法についても入念に確認してください。移動総資産ベースなのか、株式価値ベースなのか、それにより仲介手数料に大きな差がでますし、高い手数料だからといって、良い相手を紹介できるわけではありません。

実際に、M&A仲介手数料の徴収方法によって、どれ程の差が出るのか事例で確認してみましょう。

■対象会社:A株式会社 (単位:百万)

M&A仲介手数料の計算方法:レーマン方式を採用

ここに、A株式会社という会社があります。総資産は500百万円で、純資産は300百万円とします。株式価値も300百万円だとして、M&A仲介手数料は移動総資産で算出する契約となっていました。そうなりますと、M&A仲介手数料の計算式は、

M&A仲介手数料:移動総資産500百万円×5%=25百万円

一方、これが株式譲渡対価で仲介手数料を算出するとなると、株式価値は上記の表通り300百万円だとして、

M&A仲介手数料:株式譲渡対価300百万円×5%=15百万円

と、1,000万円程の差が出ます。仮に、固定資産や金融債務等が多額に計上されている会社でしたら、移動総資産でのM&A仲介手数料の算出は割高になるかと思います。

ですから、M&A仲介会社を選ぶ際は、必ず手数料の徴収方法と時期をご確認ください。

②相性の合う担当者に会えるかどうかで選ぶ

M&Aを成功させるためには、良い取引相手を見つけられるかどうかにかかっています。そのため、「この人であれば良い取引相手を見つけてくれるだろう」という相性の合う担当者に出会えるかどうかが、M&A仲介会社を選ぶ上で最も重要なポイントだと考えています。

大手のM&A仲介会社だからといって、必ず相性の良い担当者に出会えるとは限りません。最近は、売り手のオーナー様の目が肥えてきたのか、最初は大手M&A仲介会社に依頼したものの、途中で仲介会社を変更するケースも散見されます。大手M&A仲介会社は、事実、実績は豊富ですし、従業員も沢山抱えていますから、良い人材が多数在籍していますが、営業力が強すぎる側面もあり、オーナー様の意図しない提案もあるのかも知れません。

物事を進めていくうえで、勢いは大切ですが、M&Aを検討する際は、必ず、仲介会社を比較してから依頼するようにしてください。

M&Aを成功させるためには、あなたが作ってきた会社を「この担当者に任せたい」という人を見つけるということに尽きます。自社の売買価格は、M&A仲介会社を変更したから極端に変動するものではありません。それは、企業とはいえ、売買を行う以上は一定のロジックに基づいて価格が決まりますし、最終的には買い手との相対で決定するものだからです。ですから、M&A仲介会社に支払う手数料というのは、マッチングすることに対する報酬というよりも、実は、「あなたの一番に」を実践できる担当者を見つけられるかどうかに価値があるのだと考えています。

③業歴の長い会社を選ぶ

業界大手に限らず、業歴の長い会社に相談しましょう。業歴の浅い会社が悪いということを申し上げたいのではなく、業歴が長いということは、「M&Aにおける経験値がある」ということの証明だからです。M&Aの業界内において、頻繁に買収する買手のことをストロングバイヤーと言いますが、業歴の長い会社は、必ずと言ってこの手の会社と懇意にしていることが多く、すんなり交渉がまとまる確率が高まるためです。そういったM&A仲介会社であれば、自社のHP等に、定期的に実績を掲載していると思いますので、選ぶ基準にしてください。

④自社の業界のM&A経験があるかどうかで選ぶ

また、自社の業界や類似業界のM&Aをどれくらい取り扱ってきたのかも聞いてみてください。業界や業種により、評価される点や重視される点が異なるため、自社の業界に近いM&A経験をしているかどうかで、仲介会社からの提案の精度が変わってくるからです。

もし、同業種の会社を取り扱った経験がないのであれば、選ぶべきM&A仲介会社ではないかも知れません。勿論、担当者と話してみて相性が合うと判断したのであれば、その会社にM&Aを依頼しても良いと思いますが、今まで取り扱ってきた同業種のM&A実績も、M&A仲介会社を選ぶ際の一つの参考にしましょう。

⑤複数の買い手候補者と面談させてくれるかどうかで選ぶ

多くの買い手候補者に面談させてくれるのかどうかも、M&A仲介会社を選ぶうえで大事なポイントです。

当社は特に意識していますが、ほとんどの売り手オーナー様に対して、10社前後の買い手候補者と面談をセッティングします。この理由は、自社の相場観が、複数社との面談を行うことで見えてくるため、売買価格について十分にご納得いただけるケースが多いからです。

これがもし、2、3社しか面談できないとなると、本当にその価格感で良かったのか分かりません。勿論、お会いされた買い手候補者から提案のあった売買金額が、売り手オーナー様にとって、十分満足のいくものであれば問題ありませんが、万が一ご自身の期待する価格に届かない場合であれば、やはりできる限り面談をセッティングしてくれるM&A仲介会社を選ぶべきです。

現実問題として、現状の損益や財務状況、もしくは経済情勢等によって、希望の価格を得るのは難しいことも、ケースによってはございます。そういった事実を肌感で理解するためにも、なるべく多くの買い手候補者を連れてくることのできるM&A仲介会社を選ぶべきです。

⑥M&A専任契約は期日を縛り更新or解約ができるかどうかで選ぶ

M&A仲介会社とM&Aに関するアドバイザリー契約を結ぶにあたり、ほとんどの仲介会社は、専任での契約を希望することかと思います。当社の場合は、完全成功報酬制を採用していることもあり、ほとんどすべてのクライアントとの契約は、専任契約を締結させていただいています。

ここで一つ注意点がございます。それは、M&A専任契約は必ず、期間を縛ったものにしておくべきということです。M&A仲介会社を選ぶにあたって、多くの方は規模や実績、担当者との相性で決められると思います。ここで難しいのが、大手だからといって、必ず成約するわけではないということです。勿論、当社のような独立系のM&A仲介会社を利用している場合も然りです。

一般的に、M&A成約までに必要な時間は、6か月程度はかかります。従って、専任契約は、最初の6か月は良いけれども、仮に上手く進捗しそうにない場合、破棄できるようにしておいた方が良いです。弊社の場合、3ヶ月更新での専任契約を締結させて頂くことも御座います。こうしておかなければ、万が一依頼したM&A仲介会社でM&Aの成立が難しいかもしれないとなった場合、売り手オーナー様の逃げ道がありません。こうなると、無駄に時間が過ぎ去ってしまうだけです。ですから、M&A仲介会社を選ぶにあたり、専任契約についても、必ず確認するようにしてください。

尚、補足ですが、まれに、M&A仲介会社を複数利用したいと仰られる方もいらっしゃいます。いろんな意見がございますが、私は、お勧めいたしません。何故ならば、基本的に同じ会社を売る、となった場合、アプローチする買手候補者は同じになる可能性が高く、結果、情報が漏れてしまうこともあり錯綜します。また、M&A仲介会社のやる気も、専任での受託の場合と比較し落ちると思います。仮に私がそのような相談をされたとしたら、M&Aのクライアントとしては、お断りします。

M&A仲介会社を選ぶということは、M&Aを成功させるためにはとても大切なことですから、つい競わせれば良いとお考えになるかと思いますが、あまり仲介会社を競わせても、大きなメリットはないと、私は考えています。だからこそ、複数の仲介会社にはお会いいただき、この人なら、という方をご納得いくまで探してから、M&A仲介会社を選ぶとよろしいかと思います。

⑦ビジネスに対して理解力があるM&A仲介会社を選ぶ

M&Aというのは、買う側からすれば、事業投資になります。ですから、売り手オーナー様にとってご満足のいくM&Aを成立させるためには、魅力のある提案を買い手にする必要がございます。勿論これは、M&A仲介会社の担当者と売り手オーナー様の協力の元で為し得るものです。したがって、その会社のビジネスの肝がどこにあるのか、について理解しようとしないM&A仲介会社であるならば、その仲介会社にM&Aの仲介を依頼するかどうかは要検討だと思います。

得てして、そういった肝の部分というのは、所謂会計上の数値には乗らないものであると、私は考えています。例えば、地域NO.1であったり、業歴が古く、取引先が豊富であったりといったことです。今は、M&Aの知名度が浸透してきたということもあって、ついつい売り手オーナー様も、M&A仲介会社も、いくらで売れるのか、に目が行きがちなのですが、ビジネスに魅力があるのかどうか真剣に考えてくれる、またはそれを見つけようとしてくれる仲介会社を選ぶべきです。単純に財務諸表に記載された数値だけをベースにしてしまうと、中堅・中小企業では本当に魅力的な部分が見えにくいことが御座います。だからこそ、ビジネスへの感度、深い興味を持っているM&A仲介会社を選ぶべきです。

⑧真摯に対応してくれるM&A仲介会社を選ぶ

これは、②とも重複する部分がございますが、最終的には真摯に対応してくれるかどうかで、M&A仲介会社を選ぶと失敗しないと思います。

良いことばかりが強調されることの多い事業承継M&Aですが、実際成約に至らないこともございます。M&A仲介会社に問題があれば論外ですが、中には、M&Aを検討するには時期尚早であったり、準備不足によって、対象会社様の魅力が充分に引き出せないことも、現実にはございます。その時に、売れます、売れますの営業ではなく、問題点を指摘してくれる仲介会社の担当者であれば、信頼できるでしょうし、その時は残念な結果になっても、時期が変われば良い条件で成約することもあります。焦らないことも大切です。希望する金額が現時点で難しいのであれば、時期を変えて、しっかりと準備をし、改めてM&A仲介会社を選ぶようにすれば良いのです。

4.まとめ

以上のように、国内でM&A仲介を担う仲介会社の分類、選ぶポイントについてお話させていただきました。まずは、ご自身でじっくり検討し、必要であればM&A仲介業者と面談して考えを整理する等され、ご納得のいく事業承継ができることを願っております。

かえでFAでは、事前相談を無料でお受けしております。気になることがございましたら、何なりとお申し付けください。

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