MENU

経営者が知っておきたいM&Aの一般的な流れとスケジュール_佐武 伸

~M&Aのそれぞれ段階におけるポイントを解説~

Ⅰ.はじめに

M&Aの流れとスケジュールは、売り手、買い手のそれぞれの状況や案件の複雑度合いにより、スケジュールが多少前後したり、必要な手続きが異なったりしますが、一般的なケースにおけるM&Aの流れはほぼ同様です。M&Aに要する期間は、平均半年程度ですが、これも案件の内容により、短い場合は3~4か月、良い買い手がなかなか見つからない場合などは1年以上かかるケースもあります。ここでは、経営者として知っておくべきM&Aの基本的な流れ、各ステップにおける注意点やポイントを解説します。

Ⅱ. M&Aの流れの全体像

以下で図示しましたM&Aの実務手続きの流れはあくまでも一般的なものを説明したものですが、実務上は売り手の下記のような事情などによって影響を受けて、スケジュールの組み替えや実施手順の変更などが必要になってくる場合もあります。

1⃣緊急性

売り手の様々な事情により、どうしてもできるだけ早く売却したい場合には、基本合意契約を締結しなかったりして、途中の手続きを省略したスケジュールを組む場合があります。

2⃣売却希望金額

売り手オーナーの個人借入の返済原資調達などの事情でどうしても一定金額以上で売らざるを得ない場合、時間をかけてでも高く買ってもらえる買い手候補を探したりする場合があります。

3⃣売却目的

売り手の売却目的によってもスケジュールの組み方や手続きに影響を与えることがあります。例えば、「資金繰り」や「体調不良」などの理由でスケジュール変更を余儀なくされる場合があります。

最終的には、これらの売り手の事情のほかに、買い手の興味度合いや社内調整の時間などによって全体のスケジュールが延びたり、手続きが変更になったりします。

売り手は、売却希望金額、財務状況、引継ぎ可能期間などをM&A会社にきちんと説明して、できるだけ要望に沿ったスケジュールでM&A手続きが進められるように依頼すべきです。ただし、経済・金融状況、案件内容からして長期化が見込まれる場合もありますので注意が必要です。

上記の個別の手続きについては、改めて別稿で説明する予定ですので、ここでは経営者としてM&Aの流れの中で気を付けるべき大きなポイントだけを説明するようにします。

Ⅲ.無料相談時に必ず確認すべき事項

みなさん経営者がM&A会社と初回面談時に必ず確認すべき事項としては以下の3つがあります。

  • そもそも会社が売れるのか?(売却の可能性)
  • 売れるとしたらいくらで売れるのか?(予想売買金額)
  • どんな買い手に売れるのか?(買い手候補のイメージ)

まず、売却の可能性の判断は、会社の業種や規模、経営状況、金融事情、M&Aマーケットの状況など多数のファクターにより状況が変わってくるため専門性や経験によるところが大きく、M&A会社の実力を判断するためにも詳しく説明してもらう必要があります。

次に、予想される売買金額は、初回の面談時は資料不足などで提案がないかもしれませんが、大まかな金額や計算方法は最低限ヒアリングするようにしてください。また、例えば、個人の借り入れ返済の関係で必要な最低金額がありましたら、その希望売買金額は必ずM&A会社に伝えるようにしてください。もちろんそれが実現する可能性も含めて確認する必要があります。

最後に買い手候補については、同業が良いのか、異業種が良いのか、投資ファンドが良いのか、それぞれの特徴とメリット及びデメリットなどを確認する必要があります。昨今、同業者への売却は、情報漏洩リスク、相乗効果に対する疑義などの点で人気がなく、むしろ異業種や周辺業種への承継が好まれています。また、規模の比較的大きい中堅企業の間では、その豊富な資金力、海外展開力、経営人材派遣やIPOのノウハウなどの観点から投資ファンドが買い手として選択されるケースが多くなってきています。

これら3つの事項は、基本的なことですが、M&Aを決断した経営者のみなさんが最初に必ず聞いておくべき内容です。またM&A会社を選択する場合は、これらの事項を適切にアドバイスしてくれる会社を選別すべきでしょう。

Ⅳ.M&Aのスケジュールに関し必ず経営者が理解しておかなければいけない重要事項

先述しましたようにM&Aの初回相談からクロージングまでは一般的には半年以上の時間がかかるものです。このような時間のかかるM&Aですが、M&Aを行う決断をした瞬間に、既にM&Aが決まったかのような安心感を抱いたり、M&A後のことに関心が移ることで現在の事業経営への気が緩んでしまい、急激に会社の業績が悪化するという事例が散見されます。

M&Aにおいては直近の業績が非常に重要であり、M&Aの手続きを進めている間に会社の業績が急激に悪化してしまうと、譲渡条件が大幅に悪化し、最悪破談となってしまう場合すらあります。そのため経営者がM&Aの案件化を決断した際には、まだスタートに立ったばかりであり、肩の荷がおりたと安心するのは早く、むしろクロージングまでの間は改めて気を引き締めて業績を向上させなければならないと経営者は自分を鼓舞していくことが非常に大事です。

Ⅴ.まとめ

M&Aの流れの中で経営者が特に注意すべきポイントについて解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?M&Aは一生に一度、経験することがあるかないかのことです。今回ご紹介したポイントに加えて、別稿でさらにそれぞれの手続きや段階におけるポイントについて解説していきますので引き続きご覧ください。

 

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社

代表取締役

佐武 伸 Shin Satake

おすすめ書籍 RECCOMEND

最新記事 LATEST TOPICS