MENU

「成長戦略型M&Aの好事例!!子供向けオンライン英会話の運営事業者様」

業種
教育関連(各種スクール・塾・研修等)
スキーム
株式譲渡
譲渡会社
非公開代表取締役T
譲受会社
非公開

本件は社長が退任せず業務を継続しているため会社名は公開できません。ただ、事例としてとても面白いので紹介させていただきます。
業績も好調に推移していた事業者が上場会社と組む前提でM&Aを行った事例です。社長はまだ30代とお若い方です。いわゆる、成長型M&Aと呼ばれるものです。是非、参考になさってください。

はじめに

かえでファイナンシャルアドバイザリー 岡村(以下省略)

今日はお時間をいただきましてありがとうございます。クロージングから1か月経ちましたが、近況いかがですか?
T氏(譲渡会社社長、以下省略):
非常に充実しています。経営会議等今まではやってこなかったMTG等もありますが、刺激的な毎日を過ごせています。改めてM&Aをやって良かったと思っています。

それは良かったです。本日は改めてですが、M&Aを決意された経緯や今思うことをざっくばらんに教えてください。

1.創業のきっかけ

M&Aのお話をさせていただく前に、そもそも創業されたきっかけを教えていただけますか?

はい、実は学生時代から何かで起業したいと考えていました。大学3年生くらいから起業セミナーだったり異業種交流会に参加したり、漠然とですがアイデアを考えていました。
その後、一旦普通に就職したのですが、起業したいという気持ちがあったので数年で退社し、きっかけを得るためにオーストラリアで2年程ワーキングホリデーに参加しました。
そこで、日本人の英語力の低さを痛感したんですね。中学から高校まで結構な長い期間勉強しているはずなのに、いざ海外で生活してみると、全然使えない。
ここで経験したことが、創業のビジネスアイデアに繋がっていきました。

学生時代からいろいろ行動されていたんですね。

まあ、よく居る熱い学生みたいなもんです。

ワーキングホリデーの後、すぐに創業したのですか?

いえ、ワーキングホリデーの後、実はシンガポールで働くことが決まっていたんです。就職まで1か月程時間があったので、旅行がてらフィリピンの語学学校に通ったんですね。
そこで、フィリピン人の先生や現地の人々と話す中で、彼らの語学レベルの高さに魅了されたんです。その時、あっ、これだっ!!と思ったんです。
当時は、今よりフィリピン人が大学を卒業して働くことが難しい状況でしたし、こんなに英語力がある人達を活用しない手はない、現地の人たちにとっても雇用することで機会を与えることができるし、日本と世界を繋ぐサービスとしてできるのではないか?と思い、内定先に断りを入れてすぐ起業の準備を始めました。

なるほど、しかも日本と海外を結ぶ何かがしたいという想いにピッタリの事業を見つけられたわけですね。

はい、まあそうですね。

2.事業で苦労したこと

オンライン英会話のサービスは、創業されてすぐ軌道に乗ったのですか?

いえいえ、そんなことはないですよ。私自身初めての起業でしたし、しかも海外での起業でしたので、頼れる人もおらず、本当に1から全て自分で調べて行いました。ですから、起業1年目なんて勿論赤字でしたし事業運営に集中できず、最初は相当大変でした。

ちなみに、全部自己資金で開始したのでしょうか?

いえ、銀行からも一部お借りしました。大丈夫かこいつは?と思われてたと思います。今ではいい思い出ですが。当時、フィリピン人を活用したオンライン英会話のサービスはあまりなく、私としては絶対やれるんだと思っていましたが、2年目まではアルバイトをして社員の給料を払っていました。

そんなに苦労された時期もあったのですね。

はい、日本の学校教育でフィリピン系のオンライン英会話を導入すれば、英語を話すことができて、海外で活躍できる日本人が増えると思ったからです。学校教育向けのサービスや保育園等へのサービスは、少しずつですが販路を増やすことができています。

3.M&Aを検討した経緯

順調に事業運営をされていたように思うのですが、どうしてM&Aを検討されたのでしょうか?

はい。これには1つの理由ではなくて複数ありますね。
1つはコロナ禍で体調を崩したのがきっかけですね。今まで地道にやってこれたと思っていたのですが、体調を崩した時、自分に何かあった時この会社はどうなるのだろうか、ということを考えるようになったのです。1か月程体調が悪い期間があったにもかかわらず、従業員の皆が頑張ってくれたおかげで、特段問題なく会社運営はできていましたが、有事のことを考えた際、1つの選択肢としてM&Aを意識し始めました。
もう1つは、売上ベースでここまでやろうというのがありまして。売却を検討するにも最低でもこれくらいの年商はないと駄目だろうというのが自分の中にあって、ちょうど創業10年でそこをクリアできたというのがありますね。

なるほど。やはり1つの目標を達成したというのは、決断されるきっかけになる方が多いです。ご自身の中でそういうものをクリアされていたのですね。

まあ、そうなります。あとは、社長として成長した自分が、大きな会社で何処までやれるのか、試してみたい気持ちもありました。創業して、会社が軌道に乗って、新しいステージに立ちたいという想いがフツフツと湧いたというか、そんな気持ちです。

4.かえでFAを選任した理由

実際にM&Aに向けて行動を始められた際、どのように調べていったのですか?

webサイトを調べました。御社の他に複数社リストアップしました。
やはり中小企業ですので、着手金や中間金の発生がない会社でなければならないと思い、完全成功報酬制の会社さんを見ていった感じです。その中でかえでFAさんを見つけました。

やはり手数料の部分が大きいですよね。ただでさえ高い手数料ですから、M&Aが成約するか分からないのに費用が発生するとなると中々ハードルがありますよね。

はい。そこは大きかったです。複数社に問合わせをし、かえでFAさんに面談をして即決でこの会社にお願いしようと決めました。

正直、びっくりしました。あの時、複数社に面談されたうえで、どの業者を選定するか決めた方が良いですと申した記憶があります。即決された理由は何だったんでしょう?

フィーリングですね。
、、、この会社絶対売れますよ!というような営業トークがなく、弊社の実情、M&Aを検討した経緯、私が問題と思うこと等、想いを理解して話を聞いてくださったと思ったからです。

ありがとうございます。

5.M&Aを進めるうえで意識したこと

さて、これから実際にM&Aをしてお感じになられたことをお伺いさせていただきますが、まず、進めていくうえで意識したことを教えていただけますか?

複数の買い手候補の会社と面談をさせていただきました。一番意識していたことは、弊社のことをきちんと理解してくれるかどうかです。いろんな会社と面談することは大変でしたけども、多様な考え方に触れる機会でもあったので、私としてはかなり良い経験になりました。
弊社のビジネスの肝はフィリピン人講師にありますので、フィリピンという国、人々への理解があるかどうかが、一緒にビジネスをやっていくうえで大切だと考えていました。ですから、そういう観点をお持ちの会社とは話が弾みました。

なるほど。確かにM&Aを実行すればグループになるわけですし、そこでフィリピンへの理解が薄い会社と一緒になっても、中々意思疎通を図るのが難しいかも知れません。

はい。グループになった場合、フィリピンの商慣習や文化を理解いただけなければ、中長期でビジネスをやっていくとマイナスかもしれないと思って、そういう観点でお相手とお話をさせていただきました。

6.M&A先を決めた理由

複数の会社の中から、最終的にお相手を決めた理由には、そういったこと以外にあるのでしょうか?

はい。勿論、金額のことも大事でしたが、一番は自分がより成長できる環境を作れるかどうかで、最終的な判断をしました。先に申した通り、雇われ社長として何処までやれるのか考えた時、今回同じグループになった会社が一番ふさわしいと思いましたので、御縁を結ばせていただきました。
決断する前に家族に相談したことも大きいかもしれません。実は、グループに入らせていただいた会社の経営陣の関係者の方と、自分の父親が知り合いだったんです。社会人になる前から、間接的にその会社の経営陣のレベルの高さを聞いていたこともあって、この人達に指摘されることならスッと頭に入っていくだろう、もっと高いレベルに自分を成長させてくれるだろうと思ったのです。
また、現地を任せている日本人のスタッフがいるのですが、彼らからもポジティブな回答があったのも、決断をするうえで良かったように思います。
特に、スタッフの一人は自分が得た英語力を子供向け以外にも、ビジネス向けにも対応ができるのかチャレンジしてみたいという声もあって、今回のお相手を決めるうえで背中を押してくれたように思います。

それは本当に良かったです。では、従業員の皆様からは反対の声はなかったのでしょうか?

はい、割と最初の段階から出資を受けるかもしれないと話をしていたので、反対はありませんでした。新たなチャレンジになることを皆前向きに捉えてくれました。

従業員の皆様が前向きに次のチャレンジと捉えてくれたのは非常に良かったです。

7.M&Aで大変だったこと

M&Aのプロセスを進めるうえで一番大変だったことは何でしたか?

まず資料作成がきつかったです。やはり自分の会社ですから、人に示す資料という観点では管理していないことが多くて、それを準備するのが大変でした。

そうですね。普段はご自身の頭の中で理解してやっていることで、他人に披露するような機会自体、無いですからね。

はい、仰る通りです。自分が無意識に決めていることを第三者に資料として、根拠あるものとして示すことがこんなに大変なことなんだと改めて思いました。
何より、D・D(デュー・デリジェンス)はきつかったです。あの、会社を精査されているという感覚自体何回も体験したいとは思いません。
勿論、変なことをしているつもりはないし、そんなことはないと分かっていても、質問が来ると結構苦しいなと思いました。買う側からしたら当然知りたいことだと思うので不満はなかったのですが、やはりいざ経験するとキツイものがありました。

皆さんそう仰られます。それでも、今回は買い手様も慣れていることもあって、必要最低限のことに絞っていただいたように思います。

8.M&Aを終えて思っていること

最後にM&Aを経験されてみて、どうでしたか?

私は、今回の決断をして良かったと思っています。創業10年で新しいステージに立ちたいと思ったタイミングで、この機会をいただけたのは本当に良かったです。従業員の皆にとっても色んなチャンスができるようになりましたし。
早速PMIも始まりまして、今、いろんな部署の方とお話をしています。マーケティングだったり、別の事業部の方だったり、いろんなバックグラウンドの方と話ができるということが新鮮で、自社単体ではできなかったり思いもつかなかった点に気が付くことができますし、グループ全体でバックアップしてくれているなと早くも有難い気持ちで一杯です。
グループの経営会議にも参加をしまして。今まで私の頭の中で完結していたことを、今度はグループの経営陣に理解してもらえるように報告しなければならず、求められるものは高いとは思っていますが、自分の社会人としてのレベルを更に引き上げてくれるものと思っています。
刺激的で新しいスタートを切れて、楽しみです。

そう思っていただけて本当に良かったです。私も今回の話をお手伝いした甲斐がありました。また、いろんな話を聞かせてください。

【編集後記】

いかがでしたでしょうか?社長は、自社単独でも充分に成長曲線を描いていたにもかかわらず、あるきっかけで大手のグループ傘下で会社運営をしていく決断をされました。現在も、対象会社の社長として、引き続き業務にあたられています。
M&Aというと、事業承継の話ばかりですが、若い社長でも、こういうやり方で更に会社を大きくする選択肢があります。是非、参考になさってみてください。

 

かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社

マネージャー マーケティング担当

上級ウェブ解析士

岡村 新太 Arata Okamura

その他事例INTERVIEW

左:鈴木様 右:上原様

社員が安心・納得して働ける環境を最優先に決めたM&A

譲渡会社
株式会社アシック上原 仁吉様
譲受会社
株式会社SYSホールディングス鈴木 裕紀様

出会って1秒で決めたM&A

譲渡会社
スタイル・アーキテクト株式会社綱島 直輝様
譲受会社
株式会社サイバー・バズ小川 誠様

息子への事業承継と、ファンドによる成長支援と

譲渡会社
有限会社金井酒造店佐野 英之様
譲受会社
株式会社金井酒造店       (くじらキャピタル株式会社)佐野 博之様