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③M&A戦略に影響し得る買収案件獲得の障害要因

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2015.7.10

③M&A戦略に影響し得る買収案件獲得の障害要因


買収先の地域や国を決めた後に、会社のM&A戦略に見合う案件がなかなか獲得できないことはよくあります。

従い、ほしい案件を取得しようとした時に、どのような規制や障害が想定し得るのかについて、事前に理解しておくことは、M&A戦略の実現と係る重要な論点になります。

まず、アセアン諸国やインドでは業種毎に外国直接投資(通称、FDI)への規制がまだ色濃く残っています。このような規制は、概ね、規制緩和の方向で動いているものの、外国人投資家が取得できる持分比率にはアジアの新興国ではそれぞれ異なる規制を設けているので、買収を検討している国と業種で該当する規制がないかを早い段階で確認する必要があります。

また、同じアジアの新興国でも、アセアン諸国では、過半数の株式が取得できるM&A案件はそれほど多くないのが現状です。主な理由としては、市場全体が拡大しているので、過半数の株式を譲渡して、経営権を引き渡すインセンティブがオーナー側でなかなか働かないのと、多くの中小企業は、同族経営が多く、後継者問題や譲渡益を得るための会社売却のインセンティブも比較的に少ないのが現状です。

従い、買収案件が取れないのであれば、代替案としてジョイントベンチャーの設立というオプションで現地のパートナー探すか、または現地法人を設立する必要が出てきたりします。

一方、インドの場合は、比較的に過半数の株式が取得できる案件が多いといえます。理由としては、インドの多くの中小企業が同族経営であることには他のアジア新興国と変わりがないものの、株式を売ることに対する抵抗が比較的に少なく、M&Aに対する理解は欧米化しているところがあります。従い、外国の買い手企業と条件さえ合えば、取得できる持分比率には多くの選択肢があるといえます。

従い、進出を検討している国で、色々な状況が考えられますので、会社の買収ニーズとして、まずマジョリティの株式を取得したいか、またはマイノリティの株式を取得したいかを明確にする必要があります。また、マジョリティの株式であれば、普通決議ができる50%超に拘るのか、または特別決議ができるスーパーマジョリティに拘るかを決める必要があります。マイノリティの株式も同様に、拒否権が確保できる持分比率以上を取得したいか、または拒否権がなくてもいいのかを明確にする必要があります。

また、欧米先進諸国の場合は、アジアの新興国でみられるような外資規制はほとんどなく、過半数の株式が取得できる案件がほとんどですが、アジアの案件と違い、ビット案件(競売案件)が多いのが特徴です。欧米の場合は、M&Aの歴史が古く、M&A回りのノウハウがM&Aアドバイザリー会社によく蓄積されているため、案件サイズが大きくなくても、売り手側はすぐビット案件に仕上げて、案件プロセスを進めたがる傾向が非常に強いです。

ビット案件は売り手側からすれば、非常に効率的に案件プロセスを進められるメリットがありますが、進行スケジュールが通常、タイトに設定されることが多く、日本の買い手企業の多くは、ビット案件のタイトなスケジュールに、検討が間に合わず、案件についていけないこともよく散見されます。従い、何とか進めたい案件が出てきても、上述のような要因で案件が取れないことも多くあることに留意する必要があります。

特に、米国の場合は、M&A市場が非常に発達しているのと、PEファンドのようなファイナンシャルインベスターの数も非常に多いため、売り案件の売却プロセスがスタートして、それほど時間が経過してない段階で、米国国内の買い手さんに案件が進んでしまうことがしばしばあり、日本を含む海外の買い手に順番が回ってこないこともよくあります。


ジョシュ パク(パートナー)
かえでファイナンシャルアドバイザリー㈱
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