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なぜクロスボーダーM&Aなのか?③円安基調での海外企業買収の是非

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2015.5.21
昨今、円安基調が続く中で過去1年間の日本企業による海外企業の買収は過去最高を更新しています。一般的な企業心理として、円安基調においては海外企業の買収金額が円建てベースで割高になるため、慎重になる傾向があります。当社の顧客からも為替レートの影響についての質問をよく受けていますが、このような円安基調の中でも海外企業への買収件数が増えている背景には何があるのでしょうか。

一つは、日本国内の人口減少が本格化している中で、国内の市場規模が縮小していくことが懸念されており、成長のエンジンを求めて海外企業を買収するパターンが目立っているといえます。特に成長著しい東南アジアやインド企業に対するM&Aが活発になっている傾向がありますが、その中でもインド企業に対する見方やインド企業の買収案件に対する日本企業の興味度合も2-3年前に比べても大分変ってきていることは顧客企業との相談で感じ取ることができます。インドといえば、ITサービスのイメージが先行しがちですが、自動車や重工業などの産業のすそ野が広く、あらゆる業種でM&Aがダイナミックに起っています。中国に次ぐ12億人以上の巨大市場を有するインドは、モノづくりの拠点としても今後、中国と競争していく構図になっていくと思われますが、インド政府も外資の誘致でモノづくりをさらに育成する戦略を打ち出していますので、これから日本企業のインドへのさらなる進出が増えていくと思われます。

二つ目の要因として、海外企業のM&Aに慣れてきた日本企業も増えてきており、為替レートは海外案件検討における最重要項目でないことに気付き始めている点です。円安基調では目先の買収金額は確実に上がりますが、買収した後に買収先企業の財務を日本の親会社の財務に連結する際に、買収で買った海外子会社の数字が円換算で大きくなりますので、円安はプラスに働きます。従い、為替レートと海外企業のM&Aとの関係は、「ニュートラル」といえるでしょう。

また、今後、中長期的に円安がさらに進むと仮定した場合、海外子会社の財務を連結した時のインパクトを考慮し、海外資産の割合を増やしていくことは非常に重要な財務戦略になっていくと思われます(*下記は、日本円と東南アジアの主要通貨及びインド・ルピーの過去10年間の為替レートの推移を表しているグラフですが、2012年あたりを境目に東南アジアの主要通貨及びインドのルピーに対して、円安で推移してきていることがわかります)。





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